FC2ブログ
avatar image

【記事のご紹介】免疫薬ICIで進行がんが治る!? 5年生存率、衝撃の米データ

本日 Yahoo!ニュース にて
山陽新聞デジタル版の以下の記事が
掲載されました。
備忘録として転載いたします。

リンク先はこちらです


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


「免疫チェックポイント阻害剤(ICI)」を使えば、手術できない進行肺がん患者が「治癒」するかもしれない―。

 岡山大学病院呼吸器・アレルギー内科の木浦勝行教授は「実際に使ってみるまで、これほど効果のある薬だとは思っていなかった」と驚きを隠さない。免疫を活性化してがんを撃退するICIを投与した「IV期」の進行肺がん患者の中に、画像検査でほぼ見えない程度まで腫瘍が消え、その効果が長期的に持続する人が現れ始めたからだ。


 国内ではまだ日が浅いが、米国がん学会で昨年、「5年生存率16%」という衝撃のデータが報告された。先行開発されたICI「オプジーボ(一般名ニボルマブ)」の投与を受けたIV期の肺がん患者129人を追跡調査した結果だ。


 この数値は、従来では考えられないほど高い。転移や組織への浸潤があるIV期の患者は、手を尽くしても「1年間で80%が亡くなり、次の1年間でさらに80%が亡くなる」(木浦教授)という厳しい状況が続いていた。今も5年生存率は5%に満たない。米国で調査した患者も一般的な抗がん剤治療では効果がなかった人たち。まさに死の淵から生還したと言える。


 さらに木浦教授が目を見張るのは、長期生存患者16人中12人は調査時点でがんの治療を受けていなかったという事実だ。もう治療しなくてよい―。つまり、治癒した可能性があることを意味している。


 時系列で生存率をグラフにした「生存曲線」を見ると、ICIの特徴がくっきり浮かぶ。最初は抗がん剤などの治療と大差ないように見えても、ICIは長期的に平らになり、右下がりになる他の治療とは明らかに異なる。木浦教授は「もう数年たたないとはっきり言えないが、進行がんでも治るチャンスが出てきたのかもしれない」と期待を込める。


 肺がん向けのICIはオプジーボに続き、「キイトルーダ(一般名ペムブロリズマブ)」や「テセントリク(同アテゾリズマブ)」が国の承認を受けている。岡山大学病院はICIに放射線治療や別の薬物療法を組み合わせるなど、さまざまな併用療法の臨床研究を進めている。


 ICIだけでなく、がん細胞の増殖に関わる分子を狙い撃ちする「分子標的薬」が奏功する場合もあり、進行がん治療の選択肢は確実に広がっている。それは多くの患者に生きる希望を与えることにつながる。かつて「進行がんの患者さんは治せない。肺がん研究をやめよう」と思ったこともあると述懐する木浦教授の表情も明るくなった。


 昨年9月に誕生した岡山県内初の肺がん患者会「ライオンハート岡山」も希望の灯(ともしび)の一つだ。長期生存する患者が現れたからこそ、木浦教授も会の設立を後押しできた。


 肺がんの治癒―。ずっと胸に抱いてきた目標が、ようやく手の届くところに見えてきた。


 岡山大学病院にある「新医療研究開発センター」は、ICIをはじめとする革新的な医薬品や医療機器の開発に必要な臨床研究、治験を行う「臨床研究中核病院」の機能を担い、基礎医学から臨床医学につなげる「橋渡し研究拠点」としても、中心施設として研究を支えている。国から両方の拠点に指定されているのは中国四国地方唯一だ。


 同センターは2010年に開設され、現在は昨年稼働した総合診療棟・西棟の6階にある。隣接して全国的にも珍しい治験専用の個室病床6床も整備された。


 新薬や新しい機器が一般診療で使えることを確認するために行う治験は3段階あり、まず健康な人を対象に安全性を調べ、対象疾患の患者に処方して有効性や用法・用量、副作用を確認する。同センターは3段階全てに対応できる。センターには臨床研究コーディネーター、治験病床には専任の看護師20人を配置し、「万一、副作用などが起きた際はすぐ対処する」(石川貴子看護師長)という。


 治験病床では、今年4月末までの約1年間に24件の治験が行われ、延べ107人の患者を受け入れた。大半はがんに関するもので、病床の稼働率が8割を超える月もある。


 センターと同じフロアに、細胞製剤やウイルス製剤の試験薬を作製し、管理する「探索的医薬品開発室」、尿や血液といった生体試料を収集・保管する「バイオバンク」もある。「機能をワンフロアに集約することで、新薬の開発から実用化まで効率的かつ安全に進める」(黒田智・治験推進部副部長)のが狙いだ。


 ICIに関わる新治療の研究について、臨床研究部長の堀田勝幸教授は「保険承認済み、もしくは厚生労働省に治験実施が認められたICIを患者さんに提供している」と説明。それ以外の科学的な根拠に乏しい“免疫療法”は扱わないという。


 副センター長で、治験推進部長を務める四方賢一教授は「岡山大学の研究から開発された新薬や医療機器を、早く患者さんに届けたい」と話している。


 ■岡山大学病院(岡山市北区鹿田町、086―223―7151) 呼吸器・アレルギー内科の受付時間は午前8時半~正午。午後は予約のみ。土、日曜、祝日は休診。



スポンサーサイト